むぎのことは?

家族支援

日本ではまだ主流ではありませんが、むぎのこでは当事者の皆さまだけでなく、ご家族の皆さまへの支援もとても大切にしています。

なぜ家族支援をしているのか?

なぜ家族支援をしているのか?

その答えを端的に私たちに教えてくれたのは、フィンランドにあるネウボラの保健師さんです。あっさりと「子どもを救うためには、家族が救われなくてはね。」と語ってくれました。乳幼児期における養育者の重要性を説いたウィニコットも、「一人の赤ちゃんというものはいない、赤ちゃんはいつもお母さんの一部である」と言っています。赤ちゃんは生まれたその直後からすでにとても賢いのです。まわりの環境や人間関係をよく感じ取り、自分に取り入れ学習しています。ですから赤ちゃんは、養育者が感じる安心・安全の気持ちを取り入れて育ちます。その反対もあるわけで、養育者自身が安心・安全を感じていなければ赤ちゃんもその気持ちを取り入れ、つねに不安や緊張感のたかい状況を自分のなかで保つようになるのです。特に小さい子どもをもつお母さんへの支援や、同じく養育している安心や信頼のおける仲間との出会いで、子どもの思春期の迎え方が変わってくると言われています。

家族支援において大切にしていることは?

とくに発達に心配のある子どものお母さんの心のケアは大切にしています。想像もしない出来事や、受け止めがたい出来事が若い夫婦に起きてくるのです。そのため大小かかわらず様々な悩みや葛藤に寄り添っていく支援が求められています。また同じく発達に心配のある子どもを育てた当事者である先輩お母さんとの出会いも、大切な繋がりになります。

また専門家の多くは、障害受容についてショックを受けたのち葛藤と向き合うことで次第に受容できるようになると考えていますが、これは専門家が考えたことです。実際は子どもが大人になってもつらい日や心痛む日があるのです。障害のある子どもは尊い大切な存在です。ミャンマーのように子どもを大家族で育てている地域では、障害のある子どもを神様から託された大切な子どもとして家に向かい入れる文化があるそうです。日本では、まだそんなに簡単なことではありません。
しかし「お父さんお母さんが自分のネガティブな感情を語ることはノーマルなことです。」と、アメリカバークレー(サンフランシスコ)で長年障害者自立運動を先導してきた当事者のお母さんであるメーガンが語ってくれました。
不思議なことにグループカウンセリングなどの安全な場で、自分のネガティブな感情や、子どもを受け入れることが出来ない弱さを語ることで、反対にこの子と生きていこうという覚悟が出来たというお母さんがむぎのこにも多くいます。
このようにお母さんたちは、ここに来るまで長い間たくさんたくさん悩んできているのです。子どもに夢をもって育ててきたことが出来なくなったことや、なかなか思いどおりにいかない子育てに、お母さん自身がこれまでの子育てが間違っていたのではないかと自尊心が傷ついたり、罪悪感を持ってしまったりする場合もあります。お母さんやお父さんなどの養育者が安心できるよう心理支援や家族支援は大切なのです。養育者のみなさんが孤立せず、みんなで支えあって子育てしていくためには家族支援はとても大切ですね。そしてそれは子どもの成長にとっても、とても重要なことです。子どもはお父さんお母さんなどの養育者だけではなくみんなで育てていいのです。

家族支援はどんなことをするの?

むぎのこの家族支援では、先にお伝えした心理支援だけではなく、実際の生活における支援もしており、生活支援もとても重要なものと位置付けています。むぎのこでは「先輩ママ」が中心のホームヘルパーさんがお家に行って支援を行っています。先輩ママなので、お母さんたちのメンター的な役割も担っています。

日中支援だけではなく、短期入所(ショートステイ)もできるようになっています。ショートステイは、お母さんなど養育者のみなさまに休息が必要なとき(レスパイト)や、子どもが家でなかなか寝ない、ゲームをやめることが出来ない、ジュースは飲むけれど水が飲めない、パニックが多い、お母さんをコントロールしてしまう、攻撃的になってしまうなど、家庭内で生活することが難しい場合に治療的な意味で利用することもあります。
行動障害が少しあるお子さんで、早期のショートステイ利用で安定したお子さんもいます。また最近では児童相談所の一時保護委託の場所として利用する子どももいます。一日16人が泊まることが出来ます。